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地震前兆百科:水中・水辺の動物:淡水魚:ナマズ

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ナマズは江戸時代から日本では地震と関連付けられてきた。
普段は水中でおとなしくしているが、地震の前には活発に動き回るからだ。

【目次】

 

ナマズの習性

ナマズ(鯰)は、ナマズ目ナマズ科に属する硬骨魚類の一種で、日本・中国・朝鮮半島・台湾など、東アジアの河川や湖沼に生息する淡水魚だ。
日本では古代から食用魚として漁獲されていた。
夜行性の魚で、昼間は流れがゆるい川や湖の水底で、岩陰や水草の物陰に潜んでいる。冬季には冬眠するようだ。

「地中の巨大ナマズが怒れば地面が揺れる」

ナマズは、日本では地震の代名詞となっていて、古くから地震と関連付けられてきた。
ナマズと地震の関係について書かれた書物は、『日本書紀』にまで遡るといわれる。
江戸時代では、地下に棲む鯰が地震の元凶だと広く信じられていた。


地震とナマズを関連付ける俗信は、少なくとも安政年間には人々に知られていたようだ。
安政2年(1855年)の江戸地震(M6.9)の様子を描いた『安政見聞誌』では、川にウナギを捕りに行った男の記述が残されている。
川には肝心のウナギがいなかったが、鯰が騒いでいたので、地震が来ると予感して、帰宅して家財道具を外に運び出していた時に地震が襲ったという。
その後に、巨大ナマズが地震を起こして閻魔大王に叱られ、謝っている錦絵が刷られ、地震ナマズが日本中に普及することとなった。

関東大震災(1923)

1923年(大正12年)9月1日の関東大震災(M7.9)の前日に、文部次官の赤司鷹一郎氏は向島の料亭「水神」で納涼していた。
そのとき、池の中で小ナマズがしきりに跳ねているのを見た。
女中に尋ねると、2~3日前からこの調子だったという。


力武常次博士による関東大震災の前兆現象の調査でも、12件ほどのナマズの異常行動の例が見られる。
震災の1ヶ月前には、千葉県北條町の湊川でやたらとナマズが釣れ、この川にこんなにナマズがいたのかと人々は驚いた。


同じ1ヶ月前には、川崎市北部で多数の小ナマズが繁殖していた。だが、2~3年前にも震災後にも、そこではほとんどナマズを見なかったという。
20日前には、千葉県長生郡一宮町で、農業用水路でナマズの稚魚が例年になく大量に捕れた。


これらの事例は、突然に大量に繁殖したりしていたのではなく、普段は人目に触れずにおとなしくしているナマズが急に活発になったということではないか。


力武常次博士が収集した1978年1月14日の伊豆大島近海地震(M7.0)の前兆データでは、葛飾区の水産試験場で飼われていたナマズが、3日前と2日前に異常に多くの動きを示したという報告がある。
震央から320キロと距離がちょっと離れるが、福井県坂井郡の越前松島水族館では、25時間前にナマズ11匹が騒いだという。

昭和南海地震(1946)

1946年(昭和21年)12月21日の昭和南海地震(M8.1)の2週間前には、高知県の長浜川でナマズの大漁があった。


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上記の震源図に、長浜川の河口の位置を示す。
タイムラグからいっても、関連性がありそうだ。
普段昼間は川底でジッとしているナマズが、捕らえやすくなっていたのだろうか。

阪神・淡路大震災(1995)

1995年1月17日の阪神・淡路大震災(M7.3)では、大阪の海遊館という水族館で、地震の1週間前からナマズたちが暴れだした。
この大震災では、5時間前にアマゾンナマズが突然暴れ出し手がつけられない状態だった。


次に、阪神・淡路大震災(1995年)の「前兆証言1519!」から、いくつかナマズの事例を紹介する。
大阪市では、地震の2週間ほど前に、レッドテールキャットという種類のナマズが暴れて、厚さ5ミリほどのアクリル製水槽を割ってしまった。


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神戸市では、1週間ほど前に、飼っていたナマズとドジョウが水槽から姿を消した。
水槽から飛び跳ねたのかと思い、部屋中を探したが見つからなかった。
地震が起きた日に再び泳いでいるのを見て不思議に思った。
恐らく、水槽の底に敷いていた砂利の中に潜り込んでいたのではないかという。


京都市では、飼っていたナマズが2~3日前に激しく回転して暴れまわっていた。
大阪府豊中市では、アマゾン産のレッドテールキャットが地震当日の0時半頃から15分間ほど、水槽内で暴れだし、腹が減ったのかと餌をあげても一向に食べず、飼い主に向かって尾を振り回して水をかけたりしていた。

東日本大震災(2011)

2011年の東日本大震災の前にも、ナマズに関する事例がある。東奥日報の3月24日付けの記事によると、青森県八戸市の五戸川で、その年の1月に大量のナマズがかかったという。
下記のマップに、五戸川河口の位置を示す。


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震源からの距離は250kmくらいと遠いが、水中の生物であることを考えると、これも前述の昭和南海地震の時と同様で、前兆だった可能性は高いだろう。

科学的研究

ナマズと地震との関係は単なる迷信にとどまらず、古くから日本で科学的な研究の対象にもなっていた。
昭和5年(1930年)に、東北大学浅虫臨海実験所の畑井新喜司教授らがナマズと地震の関係を調べるために実験を行った。
その結果、観測期間中に発生した地震の6~8時間前に、ナマズが暴れたり過敏になっていたことがわかった。
この観察結果をもとに、「地震来たるべし」との予報を実験所に掲示したが、この予報の的中率は8割にも達していた。


ナマズが微弱電流に敏感だという事実を考え合わせると、何か電気的なシグナルを受信しているのではないかと推測した。
そしてナマズの水槽の電位も測定することにしたところ、地震発生の数時間前に水槽の電位がしばしば急激に上昇または下降することがわかった。
電位が急激に変化することによりパルス状の電流が生まれ、それにナマズが敏感に反応するのだと考えられた。


宮城県立看護大学の浅野教授は、ナマズの電気感覚に関する研究を神経細胞サイズから行った。
ナマズはコイなど他の魚種にはない水中の微弱な電位差を感じる能力があり、その感覚の鋭さは人間やコイなどが感じる能力の100万倍に近く、特に1Hz~30Hz程度の低周波に敏感であると報告した。
例えば琵琶湖に乾電池が1個投げ込まれたとすると、ナマズはそれを数キロメートル離れたところで感知するという。


ナマズだけに限らず、昔から地震を引き起こすとされていた動物は、じつは地震の前の電磁波などに敏感な動物なのではないだろうか。
地震の前に異常な行動を見せることから、地震の発生と関連付けて考えられるようになったのではないかと推測する。

まとめ

・ 餌を食べず、暴れて飛び跳ねる(2週間~数時間前)

【参考文献】

地震の確率―ヘビやネズミは知っている! (Nesco books)

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前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分

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大地震前兆集―これが起きたらすぐ逃げろ (トクマブックス)

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魚と地震 (1957年)

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【緊急改訂】大地震の前兆 こんな現象が危ない (プレイブックス)

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地震の確率―ヘビやネズミは知っている! (Nesco books)

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ラドン濃度グラフ:札幌観測点
ラドン濃度グラフ:市川観測点
ラドン濃度グラフ:大阪東部観測点
ラドン濃度グラフ:広島観測点
『RadGraph - 大気中ラドン濃度グラフ集』より


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