防災三昧 by 地震前兆ラボ - 地震前兆研究家の百瀬直也による地震予知・予測・防災情報

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【地震前兆百科】はじめに~Amazon電子本を無償開放した経緯など(百瀬直也)

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このコンテンツ【地震前兆百科】の内容は、当初Amazonキンドル本として有償で販売していた電子本『大地震の前兆集~生き残るための必須知識《動物編》』を無償開放したものに、さらに情報を追記しています。


当初の出版の目的は、「実用書」として読んでもらえる本をめざした結果でした。
実用書とするからには、何らかの役に立つノウハウが得られなければなりません。
それは、「大地震の前兆現象の傾向を知って、命が助かる」ための知識です。

「非科学」から「未科学」へ

これまで非科学的と言われてきた地震前兆現象は、じつは科学的に説明できる法則があることが次第にわかってきた。
厳密にいうと、まだ科学の世界では定説にはなっていないが、科学の範疇になり得るものということで、「未科学」の表現をする科学者などもいる。
このような知識を得れば、もしかしたら多くの人々が大地震から生存できるかもしれない。
そのような人が一人でも出てきてほしいと思い、このコンテンツの元となる本を執筆した。


大地震が多発する日本では、古くから地震にまつわることわざが言い伝えられてきた。
たとえば…

「長い帯雲が空高くにあって長く残るは遠方で地震」
「井戸水が突然枯れたり水位が下がるときは地震を疑うべし」
「鼠が騒ぐときは地震に注意」
「烏の大群が移動するときは地震が近い」
「真冬に冬眠中の蛇や蛙を見たら地震を疑え」
「猫が落ち着きなく外に出たがるときは地震近し」


日本で科学技術が発達するにつれて、科学者たちからは、このような言い伝えが根拠のない迷信とされた。
それにも関わらず、国内外で大きな地震の前には、これらのことわざと類似する現象が多く報告されてきた経緯がある。

多くの前兆現象があった

1995年1月17日5時46分に、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が発生。
マグニチュード7.3(以降「M7.3」などとする)、最大震度7のこの地震では、6,434人の犠牲者が出たほか、近畿地方に多大な被害をもたらした。


地震の前には、近畿地方で非常に多くの人々が、前兆かもしれない現象に遭遇した。
それらは、次のようなものだ。

「地震雲を見た」
「前夜の月が異様な色だった」
「井戸水が涸れた」
「テレビにノイズが入った」
「掛け時計の針が勝手にグルグル回った」
「1週間前からひどい頭痛が続いていた」
「ネズミやイタチが天井裏で騒いでいた」
「飼い犬が散歩に行こうとせず様子が変だった」
「飼い猫がどこかへいなくなって地震後に戻ってきた」
「多くのスズメが集まって騒いでいた」
「カラスの大群がどこかへ飛んで行き近所からいなくなった」
「(深海魚の)リュウグウノツカイが三重県で網にかかった」
「金魚がみんな同じ方向を向いて動かなかった」

 

宏観異常現象

こうした例は、中には思い過ごしやオカルト現象のたぐいもあるかもしれないものの、ほとんど科学的に説明がつく現象なのだ。
それらは「宏観(こうかん)異常現象」と呼ばれる。
人間が視覚や聴覚などの五感によって自然界の異常を観察できる現象のことだ。
普段はあまり見られない動物の異常行動、植物の異常、井戸や温泉、川の水位や水質の異常、発光現象など、さまざまなものがある。


「宏観」という言葉はもともと中国語であり、かつて中国では宏観異常現象の研究が国家レベルで盛んに行われていた。
一般市民たちの観測によって地震予知を行う試みが、共産党政府の主導の元で大規模に行われていた。


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かつての中国国家による地震予知

1970年初頭には、華北・東北地方が重点監視地域とされた。
その後、遼東半島で大地震が発生する可能性が高いという中期予測を出していた。
地震や地殻変動の観測や、宏観異常現象を含めた短期的な前兆現象として発生する可能性がある様々な事項について観測が行われた。工場、学校、公共機関などにも観測点が設置された。


1975年2月4日、遼寧省の海城地域でM7.3の直下型地震が発生した。
犠牲者1,328人、重傷者4,292人と、海城市の人口にしては被害者数が少なく済んだ。事前に地震が予知され、100万人が避難したために、被害が最小限に収まったのだ。
この地震では動物の異常行動や地磁気・地電流、地下水の異常なども数多く報告され、顕著な前震活動もあった。


住民から集められた情報には、以下のようなものがあった。

「雪が積もった道路上に、数匹のヘビがいる」
「ニワトリが群れで低空を飛んでいる」
「ガチョウが甲高く鳴きながら飛び回っている」
「ネズミの大群が戸外に現れて走り回っている」
「深い井戸から水があふれ出て、水質も変化した」


国家地震局はこれらの現象を「地震の前兆」と判断した。
そして、半年ほど前の1974年6月に「1〜2年のうちに大地震が発生する」と警報を出していた。
そして大地震に備えて避難小屋の建設や救急活動のための要員配置などの対策を講じていた。
地震発生当日の1975年2月4日には、大きな地震が間近に迫っていると判断し、住民100万人を避難小屋へ避難させた。
そして、その夜にM7.3の直下型地震が発生した。

「前兆証言1519!」

阪神・淡路大震災の当時、兵庫県出身の地球科学者で大阪市立大学理学部長だった弘原海(わだつみ)清教授(1932-2011)は、巷で多く耳にする宏観現象に注目した。
そして大阪市立大学阪神大震災学術調査団の団長として、宏観異常現象の収集に取り組んだ。


この調査団はマスコミを通じて、地震の前の異常な現象の提供を呼びかけた。
FAXなどで寄せられた情報は1,519件に上った。
FAXで読み取り不明なもの、文意が不明なもの、前兆現象とは無関係なものなどを除き、1件で複数種類の報告を含むものなどを整理した結果、最終的に1,207件となった。


その後これらの情報は「阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分 前兆証言1519!」(編者:弘原海 清、東京出版)として本にまとめられた。
これだけ膨大なデータを集めて出版した例はかつてなく、研究目的としても非常に貴重な本だ。本シリーズでは、この中から多くの例を参考にしている。


海城地震、阪神・淡路大震災、東日本大震災その他の大きな被害地震の前兆として宏観現象には、類似したような報告が多く見られる。
このことは、宏観異常現象と呼ばれるものの中には、時と場所を越えて何か普遍的な要素があるのではないか。
かつては迷信扱いしてきた科学者の中にも、そう考える人々が出てきた。
そのような人々の研究なくして、本書は成立しなかっただろう。それらは、本編の中で追って紹介する。

『地震前兆百科』で扱う内容

『地震前兆百科』では、さまざまな形の地震の前兆現象を紹介する。
主に、一般の人々が特別な計測器などを使わなくても、自分の五感で認識できる宏観異常現象を集めた。
それらは、動物の異常行動や植物の異状、電気製品の異常、地震雲などの空で見られる事象、太陽活動や月の満ち欠けなどの天体現象、人間が感じる頭痛や耳鳴りなどの「体感」などだ。


先に「五感で認識できるもの」と書いたが、いわゆる第六感(6th sense)に関わる事象は、基本的には扱わない。
筆者は長年超常現象などを研究してきて、そのような現象はたしかにあると考えている。
だが、現代の科学で説明できる可能性があるものと、科学のパラダイムが大きく変わらなければ説明できそうもないものは、分けて扱うべきだと思っている。
予言や夢予知なども含めた、いわゆる超科学的な地震前兆については、また別のコンテンツとして書くことにしたい。

「生き残ること」を最優先に

これからの時代、地震や津波の前兆現象の知識があるのとないのとでは、生存の可否が分かれてしまうということもあるだろう。
だが、多くの科学者たちがこの問題に真剣に取り組んでいないために、国はこのような情報を公的に国民に提供することはない。


動物は、本能的に危険を未然に察知して回避行動を取る。
「お座敷犬」など、人間に近い生活をしていると、そのような本能が薄らいでくるかもしれないが。
そして、われわれ人間ではもっと、本能的な要素が消え去ってしまっている。いまさら、サバイバル本能を研ぎすませと言っても遅すぎる。
せめて前兆現象の知識を得て、自分や家族や身の回りの人々を護る必要がある。


だから、このような本がいま必要なのだ。
『地震前兆百科』では、大きな地震災害から生き残るために必須な情報を、リファレンス的にまとめている。
このような事例は、数多く知っているほど、類似する現象に遭遇した時に、地震に対して警戒することができる。
たとえば、ミミズがたくさん路上で死んでいるのを見かけたら、「そういえば、あの本に書かれていたな」と思い出して、周囲の人々に知らせたり、地震に備えるなどの行動を取ることで、大地震の被害を免れるかもしれない。


シリーズ第一弾として動物の異常行動をまとめることにしたのは、大地震の前に宏観異常現象として報告される数が非常に多いからだ。
『地震前兆百科』の元となった本では、動物の前兆現象に絞って紹介しているが、このコンテンツでは、それ以外のジャンルももちろん追加していく予定だ。


ここで得た知識を常に記憶にとどめて、災害対策およびその際の「サバイバル」に役立てていただければ幸いである。




 

前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分

前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分


ラドン濃度グラフ:札幌観測点
ラドン濃度グラフ:市川観測点
ラドン濃度グラフ:広島観測点
『RadGraph - 大気中ラドン濃度グラフ集』より


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