防災三昧 by 地震前兆ラボ - 地震前兆研究家の百瀬直也による地震予知・予測・防災情報

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地震前兆百科:陸上の動物:ネコ目:イヌ

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【目次】


イヌ(犬)は、ネコ目(食肉目)-イヌ科-イヌ属に分類される哺乳類だ。
「ネコの親戚?」と意外に思われるかもしれないが、生物学的分類上ではそうなっている。
イエイヌ(狼)が家畜されたものだ。

動物の異常行動研究の前提として

1923年(大正12年)9月1日の関東大震災(M7.9)の前兆現象をまとめた故力武常次教授らの調査では、10件ほどのイヌの報告がある。
そのうち、2週間前から数時間前までの間に、飼い犬が遠吠えしたという例が何件か見られる。


イヌが遠吠えするのは、地震の前だけではないだろう。
これは、イヌの先祖であるオオカミから受け継いだ習性だ。


動物の異常行動を研究するには、その動物の習性をよく理解しておく必要がある。
オオカミの遠吠えは、仲間に自分のいる場所を知らせたり、他の群れに対して自分の縄張りを主張する意図がある。
イヌが救急車や消防車のサイレンに連鎖して遠吠えを始めるのは、サイレンの音の周波数が、犬が危険を伝えるために行う遠吠えの周波数帯域と似ているせいだという。


他のイヌたちに危険を知らせるためということは、地震などの危険を本能的に察知しても、遠吠えするのも、ありそうなことだろう。
だからといって、飼い犬が遠吠えしたらすぐに地震と結びつけるというのも感心しない。

関東大震災

関東大震災の前に、食事を残すようになったという例もある。
阪神・淡路大震災の際にも、数日前からイヌの食欲不振、嘔吐、下痢が多く見られたという。


人間が地震前兆を「体感」する際には、筆者自身の経験でも、頭痛から胃の不快感も始まり、食欲がなくなることが多い。
下痢はないが、嘔吐したこともあった。
同様の体験を、犬などの動物たちもしているのだろうか。


この報告では、関東地震が起きた日に朝から飼い犬がいなくなり、地震後に遅くなって帰ってきたというケースもある。
地震前にネコがいなくなる例は多く見られるが、イヌはネコほど多くはない。

阪神・淡路大震災

1995年1月17日の阪神・淡路大震災(M7.3)の宏観現象の報告をまとめた『前兆証言1519!』では、ペットの章の題として「犬は吠え、猫は逃げる」とある。
飼い犬が、家人の言うことを聞かず、相手をすると噛み付くようになった例などがある。


故池谷元伺教授によると、雷の前に騒ぐイヌは、電磁パルスを感じているためと思われ、地震の前にも騒ぐだろうという。
イヌが吠えるのは商売のようなもので、吠えたというだけで地震の前兆とするわけにはいかない。
地震の前兆を体感して吠える場合もあるだろうが、それ以外のさまざまな要因でも吠えることもあるだろう。
だが、長年ともに暮らしている飼い主ならば、様子が尋常でなければ察することがあるかもしれない。


故池谷教授は、屋内で飼われているイヌは、野性味を失っているから頼りにならない犬も多いという。
あとで紹介するように、例外もあるようだが。

飼い主を救ったイヌ

地震の前に犬が鳴いて飼い主の命を救ったという話も、世界中でよく聞かれる。
2000年10月6日の鳥取県西部地震(M7.3)の前には、役場の捕獲犬が異常に騒いで鎖を切って逃亡し、地震の数日後に戻ってきたという。
1976年5月6日のイタリア・フリウリ地震(M6.5)では、イヌが夜通し吠えたり遠吠えをしていたという報告が数件ある。


母犬が仔犬を犬小屋から引きずり出したという例もあった。いつも家の中で寝るのに、地震当日の夕方に家に入ろうとしなかったイヌもいた。
別の家では、いつもおとなしいイヌが、その日の夕方に、いつも一緒に遊んでいた少年に噛みついた。

イヌの多くは飼い主に異変を知らせようとする

飼い犬に対して忠実なイヌたちは、飼い主に異変を知らせるような行動をとることが多いようだ。
怯えたり、悲しげな声で鳴くという報告もよく見られる。


1920年12月16日に中国・寧夏省で起きた海原地震(8.5)は、約24万人の死者が出た超巨大な直下型地震だった。
この地震の前では、「犬が悲しそうに激しく泣いた」という。
このように、飼い主に訴えかけるだけでなく、主人を連れ出すという行動をとる犬もいる。

飼い主をベッドから引っ張り出した

1948年10月5日にロシア中央アジアのトルクメニスタンのアシガバードでM 7.3の地震があり、2万人(11万人の説も)の死者が出たと言われる。
その時、あるガラス工場の女子職員が、飼っていたスピッツが騒ぐので目を覚ました。
犬は悲しげに吠えた上で、主人のパジャマをくわえてベッドから降ろそうとした。
彼女がドアを開けると、イヌは再びパジャマをくわえて主人を家の外に引っ張り出した。
外に出たちょうどその時に大地震が襲ったが、彼女はイヌのおかげで助かった。


1966年4月26日にウズベキスタン共和国で発生した直下型タシケント地震(M7.3)では、首都タシケントが壊滅したが、このときも主人の女性を家から引っ張り出して助けたイヌがいたという。
このように、イヌは人間と言葉が通じないながらも、なんとかして飼い主を地震から助けようという涙ぐましい忠実さを示すこともあるようだ。
だが、犬が飼い主を家から引っ張り出そうとするのは、たとえば散歩に連れて行ってほしいという意思表示かもしれない。
そのへんの判断は、人間の方がしなければならないだろう。
何でもかんでも地震と結びつけようとしないことが大切だ。


1999年8月17日のトルコ北西部イズミット地震(M7.4)では、イスタンブールの動物園でイヌが遠吠えをしていた。
後述するネコのように、犬も子供をくわえて家から出ていくこともある。
1999年9月21日に台湾で起きた921大地震(M7.6)では、大きな余震が起きる前に、イヌが仔犬をくわえて鉄管の中に入って行った。

「前兆証言1519!」のイヌの証言

次に、「前兆証言1519!」のイヌの証言113件を解析してみることにする。
異常行動として、やはり多いのは「異常に吠える」というものだ。
地震発生までの時間で分類してみると、次のようになる。

  • 数時間前まで:23件
  • 1日前:10件
  • 2~4日前:11件
  • 1週間~10日前:2件

直前前兆に反応する例が多い

上記のように、数時間前から直前までの間がもっとも多い。
1週間以上前となると、ぐんと少なくなる。たんに人間が気づかないだけなのかもしれないが。


吠え方は、1匹でうるさく吠えたり、近所のイヌが揃って吠えたりする場合のほかに、夜に遠吠えするという例も多い。
異常に吠えたというケースの中で、特に顕著と思われる事例を紹介する。

飼い犬が異様に吠える場合は注意

大阪府枚方市では、小さい頃から吠えないように躾けられて、お腹がすいた時か喉が渇いた時に一声ワンという以外は吠えない老犬が、地震前日の午後に、悲しそうに何か訴えるようにクンと鳴いた。
外に出てみると、餌はあるし水もあるので家に戻ると、またしばらくして同じように鳴き、それが夕方まで続いた。


大阪市では、普段は吠えないし声も出さない13歳の老犬が、当日0時頃からワォーワォーと、地震が起きるまで鳴いていた。
吠えたケースで、興味深いケースがある。
東大阪市では、地震前日の昼から当日未明にかけて、家の中で飼っているイヌが西の方角を向いて吠え続けた。
西の方というと、ほぼ震源と一致する。イヌはパルス電磁波が発する方向までわかったのだろうか。それとも偶然か。

外に出たがる

家の外に出たがる、または小屋に入ろうとしないで外で寝たというケースも目立ち、前者が9件、後者が3件ある。
前者の例では、大阪市で地震当日の朝5時すぎに、家の中で飼っていたイヌが部屋の戸に何度も体当たりしていた。
起きると、外へ連れて行けと紐をくわえてきたので、着替えて外に出たところへ地震に遭った。
他にも、同様に家族を起こした例が2件あった。

落ち着かない

他の異常行動としては、落ち着かない、震えていた、一緒に寝たがる、散歩中に止まってそれ以上先へ行こうとしない、犬小屋にこもって出てこない、などがある。
後述するネコのケースのように、家からいなくなったというのも1件だけあった。
島根県の例だが、地震の2日前に高さ1.8メートルの柵を飛び越え逃亡した。
地震の2日後に戻ってきたという。

逃げたくても逃げられない?

イヌの場合、外へ出たくても鎖でつながれていたり、家に柵があったりして逃げられないのかもしれない。
東大阪市では、地震前日に興奮して家人の言うことをきかなくなり、噛み付かれたという例もある。別のケースでは、西宮市で地震前日に、イヌが怯えはじめて飼い主に噛み付いた。以前にはまったくなかったことだという。


阪神・淡路大震災の時のことは、作家の故・藤本義一氏もテレビで自身の体験を語っている。
「野良犬が群れを作って一定の方向に急いで歩いていった。不思議な行動だとは思っていたが、まさか地震が襲ってくるとは…」
(高田螢一、「熊と地震」)


Twitterの宏観レンジャーで、東日本大震災の際の報告かある。
東京の多摩北部に住む女性だが、地震の前日に、近所にいると思われる犬すべてが朝から夕方まで吠え続けたという。
飼い主たちが皆、困っていたそうだ。

犬の地震予知能力の傾向

故池谷元伺教授は、犬の地震予知能力について、こう書いている。

マグニチュード5の小さな地震でも、震源の深度が10キロメートルなら、20~30キロメートルの範囲で敏感な犬は騒ぐようである。大地震のマグニチュード7クラスなら200~300キロメートルの範囲になる。
(池谷元伺、「大地震の前兆 こんな現象が危ない」)


あくまでも「敏感な犬」についてだが、ある程度の目安にはなるだろう。
神戸王子動物園の権藤園長は、神戸地震の余震の前にイヌは間違いなく怯え、雷の前にも騒ぐと語っている。
雷の前にもパルス電磁波が発生するためだろう。


静岡県伊東市のある獣医によると、地震の数分前からイヌの心拍数が増えるという。
麻布大学獣医学部の太田光明教授の研究では、イヌやネコは震度5以上の地震にしか反応しないという。
これまで300頭のイヌで実験を行ったところ、古い犬種であるバセンジとシベリアンハスキーが特に激しく電磁波に反応した。柴犬、秋田犬、チャウチャウも電磁波に敏感だという。
太田教授が言われるには、イヌのような嗅覚が優れた動物は、地震前に井戸水の水位が変化することに伴う匂いの変化にも反応している予測されるという。

まとめ

  • 大地震の前に食欲不振、嘔吐、下痢が見られる。
  • 飼い主の言うことを聞かなくなる。
  • 夜通し吠えたり遠吠えをする。
  • 飼い主を戸外に出そうとする。
  • 異常によく吠える。

 

【参考文献】

前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分

前兆証言1519!―阪神淡路大震災1995年1月17日午前5時46分

【緊急改訂】大地震の前兆 こんな現象が危ない (プレイブックス)

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地震の前、なぜ動物は騒ぐのか―電磁気地震学の誕生 (NHKブックス)

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ラドン濃度グラフ:札幌観測点
ラドン濃度グラフ:市川観測点
ラドン濃度グラフ:広島観測点
『RadGraph - 大気中ラドン濃度グラフ集』より


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